出張買取とは、業者が自宅までやってきて不要な品物を買い取ってくれるサービスのことです。
自分では持ち運べない大きなもの(家電や家具など)や大量の不要品(洋服や雑貨など)を処分するときに便利な方法として知られています。
しかし、そんな出張買取業者の中には一部悪質な業者も存在しますので、利用するときにはいくつかのことに注意しなければなりません。
そこで、この記事では危険な出張買取業者の特徴や実際に起きているトラブルの事例を詳しくまとめました。
引っ越しに伴い不要な品物を大量に処分したい方、遺品整理などで買取業者を探している方で「出張買取は危険ではないの…?」と疑問をお持ちの方は、ぜひこちらの内容を最後までご覧になっていってください。
出張買取は危険なの…?
そもそも「出張買取」という仕組み自体に危険はないのか?と疑問に感じる方も多いと思います。
結論からいえば「大手の出張買取業者」は古物商の許可を取得し、各都道府県の公安委員会から認可を受けて営業をおこなっているので安全です。
ただし、古物商の許可を持っている業者の中にも悪質な業者は存在し、危険な場合もあります。
そのため、許可の有無だけでは判断できないというのが実情です。
ちなみに悪質な業者がどういった行為をおこなっているのか?という点を参考までにまとめてみました。
・相場よりも安い金額で買取をおこなう
・相手の意思とは関係なく買取契約を進める
・法的に取り扱えない品物を買い取る
・出張買取と見せかけて逆にリサイクル料などを請求する
・買取契約に関する明確な説明がない
世の中にはこういった悪質出張買取業者もいますので、利用する際には十分注意しましょう。
それでは次に出張買取で実際に起こっているトラブル事例について見ていきましょう。
【要注意】出張買取のトラブル事例

出張買取でのトラブルには色々なパターンがあります。
ここでは具体的な例を出しながら内容を説明していきますので、ぜひ同じ危険なトラブルに遭わないよう参考にしてみてください。
買取契約書に物品の詳細が書かれていない
買取業者というのは買取契約をおこなう際に「買い取った品物」を書面に明記しなければなりません。(特定商取引法・第58条の7、8)
たとえば○○というブランドの指輪であれば書面に「○○の指輪(特徴や状態)1点」といった形で特徴や状態まで記載することが一般的です。
しかし、悪質な業者の場合は内容を不明確にするため「貴金属1点」などの記載をします。
また、複数の指輪やネックレスを買い取ったときには「貴金属5点」などと記載し、その買取内容を曖昧にすることも少なくありません。
実際にあとから返品を申し出た消費者に対して「どの品物のことか分からない」といって申し出を拒否する事例もあります。
このようなトラブルを避けるためには、契約書に書かれている内容をしっかり確認し、理解することが必要です。契約書は法的な意味を持つ重要な書類ですので、急いで署名せず、内容に納得した上で契約することが大切です。
また、不明な点や疑問点がある場合は、業者に確認し、理解できるまで質問しましょう。
突然自宅に訪問購入業者がやってくる
悪質業者の中には「突然自宅に押し掛けるタイプ」の業者も存在します。
自宅までやってきて「何か不要なものはないか?」としつこく迫り、強引に貴金属やブランドものの衣類・バッグなどを安値で買い取っていくというのが悪質業者の典型的な手口です。
ちなみに出張買取業者が呼ばれてもいないのに消費者の自宅を訪問することは法律で禁止されています。(特定商取引法・58条の6第1項)
つまり、自宅に買取業者がいきなりやって来た場合は、その時点で「違法業者である」と分かるわけですので注意しましょう。
不明確な条件や不適切な手法を使う業者に対しては、断固とした対応を取ることが大切です。
もし自宅に突然訪問買取業者が訪れて困った場合、地域の警察署に相談することも一つの手段です。
恫喝するような態度・大声で消費者を脅す
もっとも悪質な業者になると消費者に対して大声を出し、恫喝するような態度で売れる品物を要求してくることもあります。
これは実際に発生している事例であり、特に高齢者や女性の被害者が多いケースとなっています。
当然、消費者を脅すような形で買取をおこなうことは違法です。
また、勝手に自宅までやってきた場合や電話で無理やりアポを取り家に押しかけてきた場合には特定商取引法以外の法律にも抵触します。
適切な態度で対応したりするのは、消費者の権利を大きく侵害する行為であり、法的にも問題があります。
このようなトラブルがあった場合、まずは冷静に行動し、業者に対して不適切な対応を受けたことをはっきりと伝えることが重要です。また、具体的な日時、業者の名前、発生した事象等の詳細情報を記録しておくと、後のトラブル解決に役立ちます。
その後、地元の警察に相談することをおすすめします。
クーリングオフをしたいが業者と連絡がとれない
「クーリングオフをしたいが業者と連絡がとれない」というトラブルは、出張買取の業者に依頼した際に発生する可能性があります。クーリングオフとは、一定期間内に契約を解除する権利のことを指します。
出張買取では、商品を査定した後、その場で契約を結ぶことが一般的ですが、その後に何らかの理由で契約を解除したい(クーリングオフしたい)と考えることがあります。
しかし、一部の不誠実な業者は、クーリングオフを申し出た消費者から連絡を遮断し、その権利を行使できない状況を作り出すことがあります。これは法令違反であり、消費者が損害を被る可能性があります。
参考資料:独立行政法人 国民生活センター
出張買取を依頼する際の注意点
ここからは出張買取を利用する際の注意点や危険な業者の特徴についてご紹介していきます。
「どういった業者が危険なのか?」「注意するべきことはあるのか」を知っておけばトラブルに巻き込まれるリスクが減りますので、ぜひチェックしていってください。
危険な業者の特徴
まずは危険な出張買取業者の特徴から見ていきましょう。
○法人ではなく個人で買取をおこなっている
法人ではなく個人で買取をおこなっているという方がやってきた場合は注意が必要です。
大手の買取業者であれば買取成立後にも連絡を取れますが、相手が個人だとその後連絡が取れなくなるケースがあります。
○自宅に電話を掛けてきて訪問購入のアポを取る
自宅に電話を掛けてきて「今から不要なものを買取に行きたい」というアポを取ってくるパターンもありますが、これも危険な買取業者の特徴です。
この手の悪質業者はどこかから電話番号を取得して電話を掛けてきているわけですが、そもそも個人情報を勝手に利用している時点でアウトと言えるでしょう。
○店舗やホームページなど相手の情報がない
店舗やホームページを持たない買取業者も後で連絡が取れなくなる可能性があります。
店舗はともかく、このご時世にホームページも作らず営業をおこなっている買取業者は色々な危険性が高いので利用を控えましょう。
○不要な貴金属の有無を執拗に聞いてくる
自宅にやってきたとき、「ほかに売れる貴金属はないか」と執拗に聞いてくる業者は危険です。
こうした業者は「色々なものをまとめて売ると査定額が高くなりますよ」などと騙り、貴金属を安く買い取ろうとしてきます。
また、先ほども少し触れたように買い取る品数を増やすことで後から返品を求められたときに「どの品物のことか分からない」と誤魔化す目的もあるわけです。
○クーリング・オフに関する説明がない
訪問買取の契約を結ぶ際には業者側から「クーリング・オフ」に関する説明をしなければならないという法律があります。
悪質な業者はこの説明を省き消費者を騙そうとしてきますので、必ず「○月○日までに返品を申し出たら応じてくれるんですよね?」と質問するようにしましょう。
なお、クーリング・オフについては次項でもう少し詳しく説明していますので、そちらもご覧ください。
クーリング・オフについて
クーリング・オフとは訪問販売や訪問買取によって生じた売買の契約を「一定期間であれば無条件で解約できる制度」のことを指します。
出張買取は訪問買取に該当しますので、出張買取業者は一定期間内にクーリング・オフを求められたら品物を返品しなければなりません。
この一定期間とは売買契約書を受け取った日を1日目と計算し「8日目まで有効」となっています。
また、訪問買取を利用する消費者には「引き渡しを拒絶する権利」がありますので、たとえ契約を結んだとしても8日目までなら品物の引き渡しを拒否することが可能です。
本来、出張買取業者は消費者に対してこれらの説明をしなければなりません。
しかし、悪質な出張買取業者はクーリング・オフの説明をしないまま強引に買取契約を結ぼうとしてきます。
そのため、クーリング・オフに関する説明がなかった場合は、その時点で「悪質な業者」と判断し買取を依頼するのを中止しましょう。
出張買取は危険ではないが業者選びに要注意
出張買取業者の危険性や悪質な業者の特徴をご紹介してきました。
ご覧いただいたように出張買取業者の中には消費者を騙し、相場よりも安く品物を買い取ろうとするところがあります。
こうした詐欺的な業者に引っ掛からないためにも、不要品を処分する際には出来るだけ「大手の買取業者」を利用してください。
店舗数が多く、ホームページに会社情報が明記されている業者であれば安心して利用することができます。